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-連載2- トレーナーを目指す君たちへ

2018年01月31日

お知らせ

第2回 アスレティックトレーナー(AT) の役割 その1

 

さて、今回は AT の仕事をもう少し具体的にみていくことにします。同時に、その仕事をするためにはどんな知識や技術が必要なのか考えてみる事にしましょう。今回は健康管理検査・測定・評価、そしてコンディショニングを取り上げます。

 

例えば、ある AT が新しくチームに赴任したと仮定して、その仕事を追いかけてみましょう。アスリートが全くケガをすることなく競技力を最大限向上してもらうことが、本人としてもチームとしても、AT としても、そしてファンにとってもベストです。そのためには、まずこれからサポートするアスリートの現状を把握しなくてはなりません。アスリートたちの身体に自己紹介してもらうのです。このアスリートのための健康診断をメディカルチェックと呼びます。予算のあるプロチームなどでは、スポーツ医科学センターや病院などの専門施設を利用して行います。しかし学生チームなどでは難しいので、AT が現場で行うことも多くなります。いずれにせよ、これがアスリートの健康管理やコンディショニングの第一歩になります。

 

健康診断で身長や体重を測ったことはあるでしょう。それに加えて体脂肪率や筋肉の太さなども測ります。専門施設では MRI といった画像診断装置などを使いますが、現場ではキャリパーと呼ばれる皮下脂肪測定計やメジャーを使った簡易測定方法も身につけておく必要があります。体重計に内蔵された体脂肪計を使用するときも、一日のうちの同じタイミングで排尿後に行うなど、効果的な使用法を理解しておかなければなりません。そして体脂肪が多すぎることがわかったり、充分な筋肉がついていなかったとしたら、次にやることがはっきりしますね。体脂肪を落とすためのトレーニングや筋肉のボリュームを上げるようなトレーニングを指導しなくてはならないし、そのためには食事などの内容を含めた生活習慣を見直すことも必要になります。

 

その他の身体の特徴も知りたいですよね。例えば気をつけの姿勢で身体をよくみると、ヒザとヒザの間に大きくすき間が空いていたり、土踏まずが落ち込んだ扁平足だったりするかもしれません。猫背だったり、腰が反ってお尻を突き出すような姿勢であることに気づくかもしれません。こういう姿勢や骨の並びの特徴をアライメントと呼びます。このアライメントも、じっとしている姿勢でわかることもあれば、動いた時にはじめて気づくこともあります。スクワットをしてみたり、ランジをしてみたり、トレッドミルという動く床のようなランニングマシンがあればその上を走ってみたり、動きの中での特徴も調べる必要があるのです。まっすぐに立っている時には普通だったのに、スクワットをするとヒザが内側に入ってしまうのはよくあることです。スマホを持っている人も多いでしょうから、これらの動きをスローモーション撮影してみると、意外な事に気づくかもしれません。

 

じっとした姿勢の特徴をスタティック(静的、静止状態)アライメント、動いている時の姿勢の特徴をダイナミック(動的、運動状態)アライメントといいます。特徴に気づいたら、次にその原因が気になりますよね。どこかの筋力が弱いせいかもしれないし、どこかが動かしにくいせいかもしれません。以前にケガをした影響で、関節のどこかが緩んでいたり、逆に制限がかかっているのかもしれません。こんなことも細かくチェックします。アライメントの狂いは、パフォーマンス低下やケガの原因となることが多いのです。対処すべき原因が特定できれば、具体的な方法を考えることができます。

 

アライメントの問題を抜きにしても、今までどんなケガをしたことがあって、その結果その部分が現在どうなっているのかを調べることは重要な情報となります。どう診断されて、どんなリハビリや治療を経てきたのか、手術をしたのならどんな方法だったのか、話をよく聞いた上で、患部をよく確認しましょう。特別な道具を使わない検査方法はたくさんあって、手足であればケガをしていない方(健側 けんそく)とケガをした方(患側 かんそく)とを比べることで、様々な情報を得ることができます。脳振盪(のうしんとう)など頭部の傷害も命に関わることもありますからよく確認しておく必要があります。いつ、どの程度の症状で、どんな処置をしたのか記録をためていくのです。貧血などの内科的な病気についても記録しましょう。

 

このようなメディカルチェックではドクター、特にスポーツドクターの協力を得ることが理想です。こういったドクターとの協力体制を作り上げておくのも AT の仕事になります。また、S&C (ストレングス&コンディショニング)と協力したフィットネスチェックを組み合わせて行えば、さらに情報は有益なものになります。ケガをせずにパフォーマンスが上がった、いままでケガが多かったチームなのに AT が関わるようになってケガが減った、いろいろ自分で心配していたことの原因がはっきりした、どうすれば自分が抱える問題に取り組めるのかがはっきりした、そんな風にアスリートをサポートできたのなら、それだけでワクワクしませんか?

 

もちろんどれだけ予防していても、起きてしまうケガはあります。限界ギリギリに挑戦し続けているアスリートや、ラグビーなどのコリジョン(衝突)スポーツならそのリスクはどうしても高くなります。次回は、ケガが起こった時の AT の役割に焦点を当てましょう。

 

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誰かの役に立ちたい!大好きなスポーツの世界で!! 鍼灸スポーツ学科 山根 太治