ニュース

news

-連載5- トレーナーを目指す君たちへ

みなさんこんにちは!
トレーナーを目指す君たちへの連載も5回目となりました :b15:
 
》-連載4-へのリンクはこちら
 
私がアスレティックトレーナーを目指した当時は、インターネットなど想像もできない時代で、情報収集には随分苦労しました。
と言うよりも、情報は苦労して集めるものでした。
トレーナーになるためにどうすればいいのか、自分の足を使って道を見つけなくてはならなかったのです。
鍼灸師の専門学校に在籍していた時から留学を意識していたので、アメリカのテキストを手に入れたかったのですが、今のようにインターネットですぐ注文という訳にはいきませんでした。医療系専門書店で調べてもらって注文し、2ヶ月ほど待ってようやく手に入れることができました。高額の医学英和辞典を何度も逡巡した上で思い切って購入し、ちまちまと翻訳に取り組みました。さして取り柄のない私ですが、この時の貪欲さだけは今から振り返ってもエネルギーに満ち溢れていたように思いますし、それがあったからこそ希望していた現場で働くことができたのではないかと思います。
 
今は、スマートフォンひとつでできることが増えています。様々な情報を取得し、本を注文し、翻訳もある程度簡単にできます。大変便利な一方で、玉石混交の情報をどのように見分け、使い分けるのかという新たなスキルが必要なことも確かでしょう。
情報収集や情報処理能力ひとつ取っても、少し前と今ではずいぶんと違ったものになっています。AT(アスレティックトレーナー) に求められる資質も、時代によって変化する部分があると思います。
そもそも AT (アスレティックトレーナー)が関わる対象はアスリートだけとは限りません。運動が好きな一般の方々や病院で働いていたり、アーティストのサポートをする  AT (アスレティックトレーナー) もいます。ですから、ここで述べる AT の資質は唯一絶対的なものではありません。基本的には私個人の考えですし、私が全てを備えている訳でもありません。
入口に立つみなさんに、なにかヒントになることがあればいいなと思います。
 
さて前置きが長くなりました。
先述した私がアメリカから取り寄せたテキストは「Principles of Athletic Training」という本です。Arnheim & Prentice によるこの書籍には以下のような一文がありました。
 
“Of all the professionals charged with injury prevention and health care provision for the athlete, perhaps none is more intimately involved than the athletic trainer.” 
「アスリートの傷害予防と健康管理に携わる全てのプロフェッショナルの中で、恐らくアスレティックトレーナーほど密接に関わっているものはないであろう」。
 
アスリートのヘルスケアを担う最も近しい存在だということは、当時も今も、そしてアメリカであれ日本であれ変わらない事実でしょう。
また、文中にある「intimately」 には「心の奥底から」という意味もあります。 AT (アスレティックトレーナー) として仕事をするためには、自分がサポートする相手に心から関わり、彼等の心からの信頼を得ることが不可欠だと受け取ることもできます。ですから  AT (アスレティックトレーナー) の資質として「信頼される存在」ということを軸に考えてみましょう。これは、どの専門家にとっても共通項目でしょうし、  AT (アスレティックトレーナー) を目指す多くの人が考えることだと思います。実際に本校の入試面接で「信頼されるトレーナーになりたい」と語ってくれる人はたくさんいます。
では「信頼される」ために必要なこととはなんでしょうか。数十人のメンバーがいるチームで AT (アスレティックトレーナー)として関わることがあるなら、全員から信頼されるような存在になるためにどうすればいいのでしょうか。まずは自分なりに考えてみましょう。
 
なにより AT (アスレティックトレーナー) としての専門知識や専門スキルが身についていないと話になりません。自らも学習を重ねる意識の高いアスリートの要求にも、情報収集が好きで知恵袋化した一般愛好家の要求にも、充分に応えられる存在にならなければなりません。そのためには自らを高めるために妥協を許さぬ貪欲な向上心が必要になります。
鍼灸スポーツ学科では、1年生の時に基礎医学をたっぷり勉強します。身体の構造を学ぶ解剖学や、その働きを学ぶ生理学が中心になります。このような西洋医学的な知識に加え、東洋医学の考え方も学びます。初めは覚えることばかりで嫌になることがあるかもしれません。ただ、ここで養う基礎が大きくなればなるほど、上に建つ建物も大きくなります。基礎を学ぶ大切さを知っていることもひとつの資質と言えるのです。
 
AT (アスレティックトレーナー) にとって必要な知識やスキルは専門的なものばかりではありません。いわゆる一般教養も養っておかなければ、説得力のある存在とは言えないでしょう。スポーツ、医療、健康領域に限らず、広い見識を養うために、様々なことに興味を持ちましょう。様々な本と出会いましょう。様々な人と出会いましょう。それはきっと信頼できる豊かな人間性に繋がると思います。
 
 
実際にこれらのことを高いレベルで実践することは簡単ではありません。しかし重要なことは、そうありたいと本気で想い、そのための行動に移すことだと思います。自分の目指すビジョンを持ち、それを現実にするために前向きに取り組む。そしてそれが何より誰かの役に立つためのものなら、信頼に足る存在に近づけるはずです。
 
さて次回は最終回になりますが、AT (アスレティックトレーナー)の資質というものをもう少しお話ししようと思います。
 
未来に出会う誰かのために  鍼灸スポーツ学科

オープンキャンパス・資料請求はこちら