「アメリカンフットボール」と「熱中症」と「予防」②
今回は【熱中症の4症状】についての説明と対応をご紹介します。
防具をつけ、フットボールパンツをはいて、
夏季にアメリカンフットボールの練習をするのは、
熱中症の発生を促進してしまいます。
チーム全体で熱中症教育を取り入れる参考にして下さい
【熱失神】
長時間暑さの中に立っていたり、
暑さに慣れていなかったりする人や、
朝礼中に女子生徒に発症する事例が多いことも特徴です。
主症状は【目まい】【失神】【吐き気】などになります。
末梢血管が拡張することで末梢に血液が滞留し、
体に循環する血液が足りなくなることで、
一時的に脳に血液が足りなくなり発症します。
【熱失神の対応】
涼しい場所に移動させて、
水分補給することで速やかに回復します。
冷房の効いた部屋に速やかに移動させましょう!
【熱けいれん】
水分不足と筋肉に必要な電解質の減少により発症します。
激しい痛みのある筋肉の痙攣が身体のあちこちに起こります。
発症した選手の意識はハッキリしています。
フットボール選手は筋力トレーニングをしており、
筋肉が発達しているので痙攣も広範囲になりやすいです。
初めて見ると驚かれると思いますが、
十分な電解質を含む水分を補給することで予防できます。
特に前日の水分補給が熱けいれんの予防には大切です。
【熱けいれんの対応】
発症後はスポーツ飲料を摂取させて、
痙攣している筋をアイスマッサージしてください。
アイシング用の氷を袋に詰めて、
氷でマッサージすることで痙攣の広がりを防ぎます。
冷房の効いている部屋に移動させる余裕はない状況では、日陰に移動させてください。
アイスマッサージの手が足りないときは、練習を中止して全員で取り掛かりましょう
痙攣が止れば、しっかりパートナーストレッチして再発を予防してください。
痙攣が収まってもストレッチしないと、すぐに再発します。
特に一人暮らしの方は、
発症した日の夜に再発する可能性が高いので、
チームメイトなどの部屋に泊まらせてもらうようにして、
一人で過ごすことのないようにすることも大切です。
【熱疲労】
崩れるように倒れ、【大量の発汗】【青ざめた肌】【過度の喉の渇き】【乾いた舌と口】
【39℃近い発熱】【過呼吸】【頻脈】がみられます。
【熱疲労の対応】
直ちに大量の水分補給と涼しい場所で休息させることが大切です。
冷房の効いた部屋に移動が難しい場合は、
グラウンドに車を乗り入れて冷房全開で対応しましょう。
頸の両横とわきの下と股関節の前面の左右合計6点をアイシングします。
横からタオルで扇いで、汗が乾くことによる気化熱で体温を下げるのも効果的です。
この段階で適切に処置しないと、次に説明する熱射病に移行してしまいます。
【熱射病】
体温調節機能に異常をきたし、
発汗して体内の熱を放散する能力を失っている状態です。
このため、体温は放散されず体内に蓄積される、極めて危険な状態です。
【突然意識を失い倒れる】【紅潮した肌】【熱疲労より発汗は少ない】【呼吸数は増加】
【呼吸は浅い】【脈は速く強い】【体温が40℃を超える】などの症状が見られ
【熱射病の対応】
放置すれば死に至る危険性も高くなります。
救急車を要請し病院へ速やかに搬送しましょう。
救急車がくるまでの応急処置は熱疲労の処置と同じです。
チーム全体で知識を共有しお互いを監視しあえば、
いきなり熱射病で選手が倒れることは防ぐことが可能になりますが、
熱失神・熱けいれん・熱疲労も放置すれば熱射病に移行します。
木陰で休ますだけでなく適切に救急処置を行い、
回復後も必ずそばで監視する人を配置し、医療機関を受診しましょう。
夏合宿など普段と違う環境で練習する場合は、
救急車をお願いするより自分で救急外来のある病院に車で搬送する方が大幅に早いこともあります。
合宿を行う前に事前に確認をしておくことが大切です。
夏合宿では冷房の効いた部屋に移動するのが難しい状況も発生するので、
車の冷房を活用するためにも、
練習場所には必ず1台車を確保しておくこともポイントです。
次回はアメリカンフットボールの試合や練習で熱中症を予防する具体策です
専任教員:林