大型地震発生の時、臨床工学技士と医療機器
皆さんこんにちは!
臨床工学技士科の教員の澤田です。
今回は、少し前の話になりますが、兵庫耐震工学研究センター(E-ディフェンス)公開実験
「地震災害時の病院の機能継続性を検証」に関わらせていただいたので、皆さんにも共有できたらと思います。
国家プロジェクトであるこの研究に5年前より参加させていただきましたのでその一部を報告します。
地震震発生後に、災害拠点病院などの施設が事業継続できるかを、世界最大の「実大三次元震動破壊実験施設(E-ディフェンス)」を活用して震動実験をしました。
病院施設は免震化が進みつつあり、施設内に既存の耐震構造と新設の免震構造の建物が並び、さらに機器や患者の行き来のために渡り廊下で繋がれている事例が多く見られます。
この実験では、耐震構造を強化した4階建て鉄骨造建物に、免震構造の3階建て鉄骨建物と渡り廊下で繋がれた状態で実験しました。建物内には医療機器を含めた手術室、透析室、ICU、NICUなどの室内を再現し、病院建物の地震時におけるデータを収集しました。
私は透析室の設計から関わらせていただき、機械の設置、そして加震後の測定など貴重な経験をさせていただきました。
南海トラフ地震や阪神淡路大震災を想定した加震実験を繰り返しましたが、ほぼ何も起こらなかった免震棟に対して耐震棟では、柱を支える太いネジが伸びて隙間ができるほどの加震。鉄筋の柱も歪んでいます。多くの機器が転倒し、転倒していなくても重たい機器が何メートルも動き、ベッドなども半回転していたりします。
危険とのことで最後に予定していた一番大きな加震は中止となりました…。
加震後は機械がどれだけ動いたか四隅すべて測ります。
倒れたキャビネットを割れたガラスの飛び散る中みんなで引き起こし、最後には水処理装置内に水を模擬して入れていたペットボトル数百本をみんなで狭い足場をリレーで運びました
とっても緊張と、疲れはすごかったですが、迫力あるリアルな動きが見れ、非常に貴重な経験ができました。
当日の夕方のTVニュースで報道されていましたが、南海トラフ地震化において、治療の継続は困難であると結論付けられておりました。
小手先のキャスターフリーだの、対角のみキャスターロックだのいろいろな説がこれまで発表報告されてきましたがスタッフとして働いた私の結論…免震棟最強!
この実験の詳細は多方面から次回の日本臨床工学会で報告されますのでこうご期待。