正しい救急処置とは?
FIFA World Cup カタール2022の 日本 対 ドイツ 戦 がいよいよ今夜キックオフです!⚽
筆者の私も日韓共催World Cup2002で、アスレティックトレーナーが選手に駆けつけ
迅速に処置をするシーンを見てから、スポーツトレーナーの道を志したことを今も鮮明に覚えています!
そんな大注目のWorld Cupですが救急処置のシーンなども注目を浴びる機会となります。
以前、サッカーの試合中に、意識を失った選手への対応がニュースになっていました。周囲の選手が、
「頭の向きを変え、倒れた選手の口を開け、舌を引っ張り出す」という処置を行っていました。
試合後、選手は意識を取り戻し、ネットなどでは
「素晴らしい行為だ!」などと称賛を浴びました。
確かに、即座に対応し救護しようとする姿勢は称賛に値しますし、
誰でもできることではないと思います✊
ですが、その対応が医学的に正しい対応かといわれると、完璧ではなく、
頭や首のけがをしていたら、より悪化させることにつながりますので、
アスレティックトレーナーは状況確認を行いながら、順序だてて処置を行います!
●アスレティックトレーナーが解説!救急処置のポイント!
①意識の確認などの必要な確認を行う
→意識の確認、正常な呼吸の確認、脈拍の確認は必須です。
今回取り上げた舌を引っ張る理由として、「舌が喉をふさいで呼吸ができなくなる」ということがあります。
ですが、舌を引っ張り出す行為が救急処置の第一選択肢ではありません。
②手を口に入れる行為
→手袋などの装備もなく、手を入れる行為については衛生的ではありません。
命のやり取りの現場で「命のほうが大事だから!」という緊急性は間違いありませんが、
・受傷者、救助者も含めた感染症の危険性
・指を入れた際に、受傷者が反射的に嘔吐する
・指を噛まれ、受傷者がけがをする
など様々なリスクがあります。
③頭やくびの神経を含めた損傷の可能性
→私が見た動画では、周囲が舌を引っ張ることに集中し、
首が大きく動揺してしまっていました。
頭頚部外傷は搬送中の2次的損傷により症状が重症化することもあります。
正しい救急処置とは、
バイタルサイン(生命の徴候)の確認の上、脳震盪Ⅲ度(意識消失)などがある場合には、
慎重な観察を継続、舌を引っ張るために手を入れるのではなく、顎を傾けるなどの安全な方法で気道確保を行います。
意識がある場合でも、頸椎損傷や脳しんとうの可能性も視野に入れて対応します。
今回の記事に取り上げたケースのようにスポーツの現場では、救命救急士や医師、アスレティックトレーナー
があらゆる事態を想定して日々訓練しています!
スポーツにトレーナーとして将来もスポーツにかかわっていきたい!
そんな夢を是非大阪ハイテクでかなえましょう!
全てのスポーツにかかわる選手の皆さん!怪我無く頑張ってくださいね!🌟
アスレティックトレーナー/教員 中山