トリチウムってなんだろう?
みなさん、こんにちは。
バイオ・再生医療学科教員の和田です😊
今回は、様々なニュースで取り上げられている「トリチウム」について
化学の観点から簡単にご説明しようと思います。
関連用語についても触れているのでぜひご覧ください!
【トリチウムとは】
「三重水素」とも呼ばれている水素の放射性同位体のことを指します。
【放射性同位体とは】
原子は中性子、陽子、電子の組み合わせから成り立ちます。
このうち中性子の数が異なるものを同位体と呼びます。(陽子と電子は同じ)
電子の数が一緒であることから、化学的な性質はほぼ等しいとされています。
その中でも何らかの放射線を放出する同位体のことを「放射性同位体」と呼びます。
【トリチウムの性質】
まず、トリチウムは自然界にも存在する物質です。
放射線であるβ線を放出する性質を持ちますが、そのエネルギーは非常に小さいことから
空気中を5mmしか進むことができず、紙を1枚挟んであげると遮ることができます。
さらに半減期(元の量の半分にまで崩壊して減少するまでにかかる時間)は10日と非常に早く、
体内からも素早く排出されて臓器の蓄積もないとされています。
【他の放射性同位体】
例えば、化石の年代推定に用いられる炭素の放射性同位体は半減期5730年です。
世界最大級の原発事故と言われている「チェルノブイリ原子力発電所の事故」により放出された放射性同位体はいくつかありますが、
セシウムの半減期は30年、プルトニウムなら2万4000年、ウラン-238はおよそ45億年とされます。
こう見るとトリチウムがいかに早く分解されるかが分かると思います。
【トリチウムの危険性について】
規制基準を守っている限りは大きな危険性はないとのことです👍
今回の放出によって受ける影響は、人間が普段通り生活していた場合に受ける放射線量の
10万分の1にしか満たないようです。
以上、環境省や経済産業省、復興局などで公表されているデータからみたトリチウムの性質についてでした。
もちろん命に係わる話ではありますので、思い込みやX(旧:Twitter)などのSNSの情報を鵜呑みにせず、
国などの正式な機関から発表された情報をしっかりキャッチしていきたいところですね😉✨
●以下参考・引用文献
・環境省(https://www.env.go.jp/chemi/rhm/h30kisoshiryo/h30kiso-01-02-07.html)
・経済産業省資源エネルギー庁
(https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/shorisui02.html)
・国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構
(https://www.qst.go.jp/site/qms/1890.html)
・復興庁 福島復興局 Fukushima Updates
(https://fukushima-updates.reconstruction.go.jp/faq/fk_290.html)