日本画を救うバイオテクノロジー
様々な分野で活躍するバイオテクノロジー
みなさんは「バイオテクノロジー」という言葉を聞くと、どんな分野を思い浮かべますか?おそらく、医薬品や食品の分野が多いかもしれません。しかし、実は日本画の修復にもバイオテクノロジーが使われていることをご存じでしょうか?
バイオテクノロジーと日本画の出会い
現在放送中の大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』で喜多川歌麿や東洲斎写楽といった日本を代表する浮世絵などが登場していますが、約300年ほど前に描かれた日本画が現代まできれいに保管されているのには様々な工夫がされています。
その中でも日本の高温多湿な気候は日本画にとって大きな敵です。顔料や膠(にかわ)など、繊細で脆い素材を用いた日本画は、時間と共にカビや細菌が生えてしまうことがあります。
バイオテクノロジーで絵画を守る
ここで登場するのがバイオテクノロジーです。バイオテクノロジーを応用した特別な試薬を使用することで、絵画の表面に生えたカビや細菌を特異的に分解し、絵画を傷つけることなく、描かれた当時の状態に復元することができます。
酵素試薬の役割
特に注目すべきは、酵素を用いた試薬です。酵素は特定の物質を分解する能力を持っており、以下のような酵素試薬が使用されます。
- PVA分解酵素: 劣化したポリビニルアルコール(PVA)の除去に使用されます。
- 溶菌酵素: カビやその分泌物を分解するために使用されます。
これらの酵素試薬は、非常に特異的に作用し、絵画を損傷することなくカビや細菌を取り除くことができます。そのため、日本画の繊細な部分を守りながら、元の美しい状態に復元することが可能です。
現在すべての絵画の修復に使用できるわけではありませんが、今後研究が進むことで様々な文化財を守ることへ繋がっていくと思われます✨
未来のアート保護
このように、バイオテクノロジーは私たちの知らないところで日本の文化財を守るためにも活躍しています。未来のアート保護の一環として、バイオテクノロジーが日本画を救う役割を果たしていることを知ると、少し身近に感じられるのではないでしょうか。
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