「未来の命をつくる研究」が本格始動!iPS細胞を使った研究とは?
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こんにちは!
バイオ・再生医療学科でバイオを教えている教員の和田です。
今日は少し前にニュースで話題になった
「iPS細胞から受精卵作製認める 政府調査会、子宮への移植は禁止」についてご紹介します。
ニュースのポイント3点
iPS/ES細胞由来の卵子・精子で受精卵を作製する研究を容認
体外培養は最大14日まで、人・動物の子宮への移植は禁止
受精直後~初期胚発生の過程をヒトで直接解析でき、不妊や遺伝性疾患の原因解明や手法改良につながる可能性
これは「命の始まり」を科学の目で観察し、不妊や遺伝病の発症のしくみをヒトモデルで直接解析する第一歩!少し詳しくお話していきますね!
iPS細胞って何?〜超カッコイイ万能細胞!〜
iPS細胞とは、私たちの皮膚などの細胞を魔法のように「初期化」し、体の中のどんな細胞にも変わる能力を持つ「万能細胞」のこと。
日本の山中伸弥教授が発見
2007年にヒトでも成功し、2012年にはノーベル賞を受賞
受精卵を使わないため倫理的な問題が少ない
自分の細胞から作るので拒絶反応も起こりにくいのが医療への貢献ポイント
受精卵を”研究目的でつくる”ってどういうこと?
2025年7月24日、政府の生命倫理専門調査会が、iPS細胞などから作った精子や卵子で受精卵を作る基礎研究を認める報告書をまとめました
作成した受精卵を子宮に戻す(移植)ことは禁止
受精卵の体外培養は最大14日まで
使用は不妊症や遺伝性疾患などの研究に限る
⇒あくまで「科学的に観察するため」で、妊娠や出産は目的ではない
追加TOPICS「なぜ14日間という制限なのか」
受精卵は、14日経過くらいで「個体としての形作り(原腸の形成)」が始まります。
倫理的にも、国際的にもiPS細胞を用いた人間の作成は禁止されています。
そのため、個になるまでの期間で研究を許可し、最大限医療の発展に活用するという目的です。
この研究が注目されるのはなぜ?
14日間で細胞分裂や初期の分化も観察や解析ができるため、生命の設計図を読み解く数日間を科学に使うことができます。
自由に遺伝子改変した受精卵を作ることができる
気になる遺伝子を挿入したり、壊した受精卵を作成することで、受精卵への影響を調べることができる
不妊症の原因を科学的に調べる
受精はできたけど初期に発生が止まってしまうなど、今まで調べることが難しかった現象もこの許可により調査が可能に。原因の特定が進みます。
いかがでしたでしょうか。
iPS細胞から生命の始まりを探る研究は、今まさに“未知への扉”を開こうとしています。
さらに知りたいポイントがあれば、ぜひオープンキャンパスで聞いてみてくださいね!