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アスレティックトレーナー(JSPO-AT)として必要なスキルを実技試験から読み解く!

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前回のブログでは、アスレティックトレーナー試験の変更点についてお話させていただきましたが、今回は具体的に出題内容について触れていきます!

カテゴリー1 傷害の評価及び応急手当

負傷者を目の前にしたとき、どこに何が起こったのかを見定め、状況をできる限り正確に把握する力が求められます!その上で、必要な応急手当を行います。

例えば、「バスケットボールの試合中、リバウンドを競ってジャンプした際、着地で他選手の足を踏んで転倒した。右足首の痛みが強く競技続行が不可能になりコート外に搬送されたこの選手に対して、的確に評価した上で応急処置を実施しなさい」といった問題が出されます。

さて、実際のスポーツ現場では何をすべきでしょうか?

スポーツ現場で負傷者が出た場合、まずその状況を見定める必要があります。負傷シーンが自分の視界に入っていたとしたらすで得られた情報もあるでしょうが、もし目撃していなければ、詳しく状況を聞くところからスタートします!

「どのように起きたのか(発生機序)」

「どんな状態なのか(主訴)」

「どこに痛みがあるのか(傷害部位)」

「どんな痛みがどの程度あるのか(痛みの種類と程度)」

など、聴取(問診)を進めます。「他に痛む部位はないのか(合併症)」「以前同じ部位の怪我がなかったか(既往歴)」「今他に傷んでいる部位はないのか(現行歴)」など必要と思われることを確認しながら、観察(視診)して目からも情報を得ます。目に見える場所で大きな変形や変色があれば、すぐに固定することも必要だからです。ケガをしていない方(健側)を基準に、ケガをした方(患側)にどんな変化があるのか比較しましょう!

バスケットボールの場合は、サッカーやラグビーと違って長いストッキングは履いていないでしょうから、ソックスを(ふくらはぎを包むスパッツも)少しずらせばくるぶしくらいまではそのまま目視できるかと思います。実技試験ではともかく、実際の現場で骨折の疑いがあれば、移動はおろかシューズを脱がすことにも充分な配慮が必要になります。はっきりした変形があればもちろん、疼痛(ズキズキうずく痛み)が強く内出血したような変色があるようなら注意が必要です。よくわからない場合、痛みが外くるぶし(外果)であれば膝の外下方にある骨のコブ(腓骨頭といって外果と同じ骨の反対側)を少し叩いて確認してもよいでしょう。内くるぶし(内果)なら膝のお皿(膝蓋骨)のしたにある骨のでっぱり(脛骨粗面)も同様にします。骨折があれば同じ骨の一部を叩いて振動を与えることで、痛みが強くなる場合があるのです。試験内であれば、そのまで確認しなくても、支えて補助しながらベッドに移動させるところからスタートすればいいでしょうが、上記のことも理解しておきます。

骨折の可能性が低いと判断すれば、ベッドの方に移動しシューズやソックスを逃がせてより広い範囲を観察し、今度は手で触察(触診)することでさらに情報を得ます。ここまでで、痛みの場所が外くるぶし周辺であれば、いわゆる内反捻挫の可能性が高いことは予想できます。内反捻挫では外くるぶしの前下方にある前距腓靱帯を傷めるのが典型的な例です。しかし傷害というものは教科書通りに起こるものではなく、また一箇所だけに起こっているとは限りません。思い込みは控えて、鑑別(他の可能性の有無を見極める)しながら触っていく必要があります。そのためには何を触っているのかを解剖学的に理解しておく必要もあります。

「いまから触っていきますが、痛かったら教えてくださいね。ここはどうですか?ここはどうでしょう?」と負傷者には声をかけていても、自分では「三角骨障害はないだろうか」「内果の骨挫傷はないだろうか」「二分靱帯は大丈夫か」「第5中足骨の骨折はないか」「腓骨筋腱はまた腓骨筋そのものは大丈夫か」「腓骨筋支帯が損傷して腓骨筋腱が脱臼していることはないか」「後距腓靱帯は無事か」「踵腓靱帯はどうか」「前脛腓靭帯は傷んではいないか」「外果そのものに本当に骨折はないのか」「さていよいよ前距腓靱帯はどうなのか」など、探るべき可能性は様々です。ややこしい名前がたくさん出てきて、なんのことやら解らないかもしれませんが、触察する時にはまるで身体の中身を透かしてみているような感覚で何を触っているのかの説明が全てつかなくてはなりません!生きた人間にあてはめた解剖学の知識が必要なのです。

1つ目のカテゴリーの詳細内容は次回・次々回のブログでご紹介させていただきます!

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