DNAはデジタル情報?AIがウイルスを設計する時代へ|コンピュータとバイオの意外な共通点
人工知能学科の安達です。
唐突ですが、我々生命の設計図といわれる「核酸(DNA・RNA)」と、アプリ開発に使われる「コンピュータプログラム」には、驚くほど共通点があるのをご存じでしょうか?
実は、生命もコンピュータも、根底にある仕組みは同じ「デジタル情報システム」なのです。

DNAとプログラムは「並び順」が命
コンピュータプログラムは「0」と「1」の2進数で組まれます。これは「マシン語」と呼ばれる最も基本的な言語です。例えば「00」なら「OFF」、「01」なら「ON」というように、特定の組み合わせでコンピュータに指示を出します。
一方で、核酸も同様の仕組みを持っています。
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DNAの場合:「A(アデニン)」「T(チミン)」「G(グアニン)」「C(シトシン)」の4つの塩基
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RNAの場合:「A」「U(ウラシル)」「G」「C」の4つの塩基
このうちの3つの塩基の組み合わせが、アミノ酸の種類を決定します。例えば「GAU」という並びならアスパラギン酸を、「GAG」ならグルタミン酸を指定するといった具合です。
「0」や「A」といった記号そのものに意味があるのではなく、その「並び順」が特定の命令(コード)を形成するという点において、生命とコンピュータは非常に似た性質を持っているのです。
コピーミスと「デバッグ」機能
さらに面白い共通点は、そのエラー処理にも見られます。
プログラムがコピーできるように、DNAも細胞分裂の際に複製されます。しかし、プログラムに「バグ」が発生するように、DNAにも「コピーミス(突然変異)」が起こります。
コンピュータの世界ではバグを修正することを「デバッグ」と言いますが、実はDNAにも「修復酵素」と呼ばれる、一種のデバッグ機能が備わっています。生命は太古の昔から、自らのプログラムを書き換え、修正しながら進化してきたのです。
AIが「ウイルス」を設計する最新ニュース
この「生命=プログラム」という考え方を象徴するようなニュースが、アメリカ・シリコンバレーの「アーク研究所」から飛び込んできました。
なんと、世界で初めてAI(人工知能)が設計した「ウイルス」が生み出されたのです。
ターゲットとなったのは、細菌に感染するウイルスである「ファージ(バクテリオファージ)」の一種。AIが設計したこのファージは自然界には存在しません。
DNAが生んだ「人類」が「AI」を作り、そのAIが新たな「DNA(ウイルス)」を設計する……。少し複雑な構造ですが、この技術は、従来の抗生物質が効かなくなった「薬剤耐性菌」を退治する次世代の医療手段として、大きな期待を寄せられています。
加速する生命科学とAIの融合
現在、コンピュータと生命科学の融合は「AI創薬」という分野でも目覚ましい成果を上げています。
膨大なシミュレーションをAIが行うことで、新しい薬の開発スピードは飛躍的に向上しました。かつては偶然や膨大な実験に頼っていた発見が、今では緻密な計算によって導き出されています。
AI技術は今や、あらゆる分野の境界線を溶かしながら広がっています。
今は「国・数・英・理・社」が学校の主要科目ですが、そう遠くない将来、当たり前のように「AI」という科目が学校の授業に加わる日が来るかもしれませんね!
