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アスレティックトレーナー(JSPO-AT)として必要なスキルを実技試験から読み解く!~part2~

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意図した触察ができれば、傷害部位の特定はかなりできたはずです。次にその状況が機能的にどんな影響を与えているのかを評価します。今までの聴取、観察、触察で得られた情報から、ある程度動かして確認できると判断したなら、次はいくつかのストレスを患部にかけていきます。まず動かせる範囲(関節可動域、ROM)を確認します。

ROMは、自分で動かした時(自動運動、A-ROM)と、トレーナーによって動かされた時(他動運動、P-ROM)の状態を比較します。足首はつま先を手前に引く運動(背屈)つま先を前に伸ばす運動(底屈)足の裏を外側に返す運動(回内)足の裏を内側に返す運動(回外)を基本にしましょう。それぞれの必要に応じて微妙に角度を調整する場合もあります。健側を動かして基準にし、患側ではどれくらい制限があるのか確認します。制限がある場合には、どんな止まり方をしているのか(硬く止まるのか、柔らかく止まるのかなど)を感じ取っておきます!

また痛みの起こり方で傷んだ組織を再確認することもできます。外くるぶしの前にある前距腓靭帯が傷んでいれば、底屈しても回外しても引っ張られて痛むでしょうが、背屈や回内ではそうでもないかもしれません。ふくらはぎの外側から外くるぶしの後ろを走る、足を回内させる筋(腓骨筋群)が傷んでいれば、底屈しても回外しても引っ張られて痛み、回内の自動運動では力を入れるので痛むでしょうが、同じ動きを他動運動でした場合には力を入れていないので痛みは少ないといった可能性があります。それを判断材料に加えるのです。動かした時に痛いと訴えられた時には、かならず「どこがどの程度痛む」のかを確認しましょう。

次に力がどれだけ入るのか(筋力)を確認します。手で抵抗を加えて筋力を確認する方法を徒手筋力検査法(MMT)といいます。動きの種類はROM確認に準じますが、関節を動かしながら筋力発揮してもらうことがリスクだと考えれば、例えば足首を90°の角度に固定してもらって、各方向から抵抗をかけてどれくらい耐えられるのかをみる方法(ブレイクテスト)もあります。ROMを確認する時に、どれくらいの負荷が加えられるのかを判断しておきましょう。この時も痛みが起これば、どのくらいの力の入れ方でどこにどの程度の痛みがあるのか確認しましょう。

最後に整形外科的テスト(スペシャルテスト)で特異的な情報を得ます。足関節捻挫が疑われる時に使われるテストには、内反ストレステスト、前方引き出しテスト、クレーガーテストなどがあります。内反ストレステストは、足を底屈位で回外させた時の関節の緩みや痛みの発生を確認します。前距腓靭帯の損傷度を判断するテストです。しかし、これは先の他動運動でのROM検査時に確認しているはずです。ただ底屈させずに90°の角度で真横に動かして外くるぶしの真下を牽引すると、腓骨筋支帯や踵腓靱帯など他の組織の損傷度をみるテストになります。この場合には距骨ティルトテストという別の名前で呼びます。要するに今まで得た情報を元に、このスペシャルテストで今回起こった最も可能性の高い傷害とその重症度の判定を下すという訳です。

これら情報はケガの状態を知り、適切な処置に繋げるだけでなく、競技復帰に向けたアスレティックリハビリテーション(今後はリコンディショニングと呼ぶことになります)のプログラムづくりの基準にもなります。ここまでの評価が終わった時点で、どう応急手当てをするべきなのか、搬送はどうするのか、リハビリの第1歩はどうするのか、次の段取りを具体的にイメージできている必要があります。

次のブログではその詳細な段取りについてご説明させていただきます!

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