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アスレティックトレーナー(JSPO-AT)として必要なスキルを実技試験から読み解く!~part8~テーピング

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最終回はテーピングについてです。基本的にAT(アスレティックトレーナー)テキスト「予防とコンディショニング」のテーピングの項にあるものを全て巻ければ、実技試験は問題ありません。ただ本来はアスリートの状態を評価し、それを改善し、かつアスリートが求める条件をできる限り満たす形のものをオーダーメイドで仕上げる必要があります。しかしこれについてはまたの機会に述べることにして、ここでは基本的なテープの扱いについて触れておきます。

まず非伸縮テープの扱いですが、シワなく均等な圧をかけながら貼るためには、どの面が基準になるのか感じ取りましょう。例えば足関節基本テーピングのホースシューは、足の背面を基準にし、その面に垂直になるように意識します。1本目(一番下)のホースシューはアンカーの貼り始めから少し上がり、背面を過ぎると下がってくるような走行になります。足の裏に水平に貼ろうとしてテープの上の端側が余り、シワになることが多いので気をつけましょう。シワは違和感、テープ効果の低下、靴擦れの原因になります。

また、テープを巻き付けるように貼ってしまうと、圧が強すぎたり圧にムラが出ることがあります。小さく引き出しながら巻いてしまうと余計にそうなります。初めから少し多めにテープを引き出しておいて、引っ張る方向はテープをピンと張る方向にしておいて、ロール(巻きの方)を体から離して動かし、体に当てていくようにすれば、走行もわかりやすく、圧も均等になります。巻くより貼るという感覚です。

ただ、踵など急に角度が変わるところは真っ直ぐ引いて当てながら、テープのロールをひねって、右図の赤のライン側をより早く当てていくように貼れば、フィットしやすくなります。

アンダーラップも同様にするだけで、端が丸まりにくくなります。

同じく足関節基本テーピングのステアアップの方向も気をつけましょう。内側のスタートから外側に回った時に手前(足の指側)に引きすぎるのもよく見られます。それが3本続くと、第5中足骨底(下図の赤丸部分)につく腱にテープの端が食いこみ、痛みの原因にもなります。あえてフィギュア6として巻く場合もありますが、基本は踵骨にかけてまっすぐ貼りましょう。

また、このステアアップを強く引っ張りすぎて足が回内位(扁平足のような形)になっている事もあるので、中立位で固定できるよう気をつけましょう。テーピングがアライメント異常の原因になっては本末転倒です。

伸縮テープは肘や膝など大きく動くところに使うことが多いのですが、現行の実技試験では全てのテープをアンダーラップの上に巻くことを求められます。貼っている途中に上下のアンカーが中央に向かってずれてしまっては、テープの意味をなしません。肘にせよ、膝にせよ、アンカーは上下の筋肉の膨隆部に引っ掛けるように貼る必要があります。

また、伸縮テープは融通が効く分、自分で方向が変えられてしまいます。波打つようなテープになっては効果が落ちます。基本的に真っ直ぐ貼ります。これも非伸縮テープと同様、ある程度引き出して貼れば、走行も張力も調整できます。出しながら貼ってしまうと、方向も圧もバラバラになりがちですので注意しましょう。

アンカーの始まりと終わりには少し緩いところ(テープを引っ張らない部分)を作っておくと、はがれにくいかと思います。切り方も自分のやり方を確定しておく必要があります。下図のようにアンカーに一部貼ってから、指で少し折り返して切り、その先は引っ張らずにそのまま緩めに貼るとやりやすいかと思います。

ただし、膝のACLテーピングの前方サポートと、肩脱臼の内転・内旋位に引くスパイラルテープはやや方向の調整が必要になります。他は膝のコンプレッションテープなどに使うスプリットテープでも裂いた先は真っ直ぐに貼ります。

 

肘のMCLテーピングは頻出問題ですが、シンプルなようで意外に交差する場所をずらしてしまいがちです。軽く曲げた肘を最短距離でまたいで貼ろうとすると、上方向(掌側)にずれてしまうので、前腕に平行に貼るようにすればずれにくくなります。まず指標を得ておくことも大切です。この場合、肘の内側に飛び出した内側上顆を目安にします。テープでサポートしたいMCLはここに付着していますから、そこにテープの上側1/3〜1/2をかければ、ピッタリくるといった感覚を身につけておくのです。アスリートの肘を支えている自分の手の指で肘頭を触っておくと、テープがかかっていないか確認しながら巻けます。

繰り返し練習していると、テープの方から肌に張り付いていく感覚を得ることができます。テキスト通り巻ければいいのではなく、前述のように必要なことを評価し、それに見合う施術として提供できることを目標に練習を積みましょう。そうすればテキストの巻き方など、問題なくできるはずです。

以下、以前に掲載したブログから、動画のリンクを転記しておきます。参考にしてください。

動画1「アンダーラップを巻いてみよう」

https://youtu.be/AbHFxws89JE

 

動画2「アンカーを貼ろう」

https://youtu.be/NQ5aVU7pEtY

 

動画3「ステアアップを貼ろう」

https://youtu.be/4TBbWCspjM0

 

動画4「ホースシューを貼ろう」

https://youtu.be/XAnGPcQMomY

 

動画5「サーキュラーを貼ろう」

https://youtu.be/xtlR0SabEHc

 

動画6「スパイラルテープを貼ろう」

https://youtu.be/7G0ejBAGMng

 

動画7「フィギュアエイトを貼ろう」

https://youtu.be/H7rkJLlFBD8

 

動画8「ヒールロックを貼ろう」

https://youtu.be/lLfgJGHTiMA

 

動画9「仕上げて完成させよう」

https://youtu.be/C986XxkC7Jg

 

さて、「アスレティックトレーナー(JSPO-AT)として必要なスキルを実技試験から読み解く」シリーズも、これで終了です。型にはめた練習も否定しませんが、常にその意味を考え、実技試験をゴールにせず、その先の現場を見据えたチカラを身につけるための対策になることを願っています!

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