医療資格を持つアスレティックトレーナ(AT)の役割 後半
医療資格を持つアスレティックトレーナーの役割 後半
前半では、アスリートがケガをすることなく元気にスポーツに取り組んでもらうコンディショニングがATとして大切な役割だとお話ししました。ただ、どれだけ手を尽くしたとしてもスポーツ現場ではケガが起こることがあります。
特にラグビーなどのコンタクトスポーツ(コリジョン(衝突)スポーツと呼ぶこともあります)ではなおさらです。トップスポーツでは試合をドクター(医師)がサポートしているケースもあります。その場合はドクター中心に対応してもらうことになり、ATはそのサポートを務めます。ただし一般的にはそのような環境が期待できないほうが多いですよね。その場合はATがまず対応することになります。
何が起こったのか、聞き取り、観察し、触り、動かして確認したりする中で、負傷者の状態を把握します。これを傷害の評価と呼びます。適切に状態を評価した上で、次に適切な応急手当をする必要があります。
R(Rest 安静に保つ、また必要に応じて副木などで固定する)、I(Icing 氷などで冷やす)、C(Compression バンテージなどで圧迫する)、E(Elevation 患部を高くしておく)の頭文字を取ったRICE処置をすることが多いのですが、仮に命に関わる状態であっても、冷静に最善の対応をすることが求められます。ここでも、医療知識が豊富であれば、気づくことも多くなり、よりよい対応が期待できます。鍼灸治療ができれば急性症状を抑えられる場合もあります。
ケガをしたアスリートの目標は競技復帰です。でも痛みがおさまれば復帰OKではなく、ケガの原因になったことを克服し、同じようなケガを繰り返さない準備ができた上で復帰すべきですよね。そこに寄り添うのもATの重要な役割です。競技復帰に向けたリハビリをアスレティックリハビリテーションといいます。
痛めた部位の動く範囲や筋力を取り戻すだけでなく、体の使い方の改善や体力の強化も行います。負傷者の問題点を正確に分析し、改善する方法を持っておく必要があります。この機会に栄養の教育やメンタルトレーニングなどを徹底してもいいでしょう。
この復帰までの取り組みの中で、医療資格を持っていることで治療ができることになります。
痛みをコントロールし、筋緊張の緩和や血流改善などを通じて治癒過程の促進が見込めることは、現場のATとして大きな武器になるでしょう。
医療資格を持つことのメリットと合わせてATの役割についてお話ししました。この他にもアスリートの教育や働く環境の整備などたくさんの仕事があります。このようにATは専門性が高く、裏方としてアスリートを支えながら共に戦うことができる魅力ある仕事です。
鍼灸師や柔道整復師などの医療資格を持っていれば、治療院で働きながらトレーナー活動することも可能で、自分で開業すると言う選択肢も生まれます。そのメリットは非常に大きいと言えるでしょう。
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